角川 新字源 BCCKS版 | jigumi
角川 新字源 BCCKS版



『新字源』は、漢和辞典のパイオニア的存在の簡野道明先生の『字源』の名を負っている。この二つの漢和辞典は、編者も内容も全く異なる辞典であるが、漢字について極めて厳正で、かつ、漢文教育に熱心だった簡野先生の精神が、角川の漢和辞典編集のブランド名として受け継がれ生きている。この『新字源』は、京都大学と東京大学の東西の学者が共同で作り上げたものである。特に見出しとなる漢字は、範となるべき『康煕字典』の随所に見られる矛盾を理論的に是正して統一し、系統立てた。たとえば、字形については、同じ旁なのに部首によって字形が微妙に違ったり画数が違ったりしているのを、その漢字の成り立ちから、適切な形を判断して採用した。漢字音も、根拠のあるものに従って厳密に選定し、使われた実績のない音を採用することをしなかった。また、成り立ちの解説(解字)・本来の意味(原義)・転義と、その展開順に沿って記述し、分かりやすく明確に、合理的な漢字の理解に貢献できるようにした。さらに、他の漢和辞典に先駆けて、見出し漢字の箇所に、それまで無かった同音同義の異体字(古字・俗字など)をまとめて併記し、通し番号(検字番号)を付けた。熟語は、地名・人名・書名などの固有名詞も含め、広範囲にわたって語彙を採取し、出典・引用例は原典に当たって検証し直し、豊富に掲げた。
コンパクトながら、利用者の幅広い要求に応えられるように配慮しつつ、このサイズでは他に類をみない親字数約1万字と語彙数6万余語を収録する。下は中学生から上は専門家まで、発刊以来、多くの人々の信頼を勝ち得、今もなお支持され続けている漢和辞典のベストセラーである。
初版発行:昭和43年(1968)1月
改訂版初版:平成6年(1994)11月〜第46版:20年11月
『角川 新字源 改訂版』 小B6判 定価:2400円
編者:小川 環樹・西田 太一郎・赤塚 忠

『新字源』紹介文
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<おもな記号>
[国]:親字および熟語で、日本語としてのみ用いるもの。
[同]:同義語
[対]:対義語
なりたちの分類は六書による。
[象形]:物の形をかたどって字形を作ること。
[会意]:位置や状態といった抽象概念を字形の組み合わせで表 すこと。
[指事]:類型的な意味を表す意符と音を表す音符とを組み合わ
せて字を作ること。
[形声]:象形と指事によって作られたものを組み合わせて新し
い意味を表す字を作ること。
[仮借]:用字法の一つとする説が有力であるが、定説はない。
[転注]:他の同音・類字音の字を借用すること。
ほか、
[象指]→[象形指事]、[会形]→[会意形声]の2種を追加した。



漢字のなりたち
57



知
53
もと、“吁”[く](さけぶ意。のち口に変わる)と、音符“矢”[シ→チ](つらねる意→“陳”チン)とから成り、ことばをつらねて神に告げる意を表わしたが、転じて、物事のことわりを知る、認める意に用いる。一説に、“口”と“矢”とから成る会意の字という。
※本書には図解あり
しる。
ア)さとる(覚)
イ)わきまえる。みわける。
ウ)みとめる。
エ)つかさどる。治める。
オ)見知る。したしむ。
カ)感じとる。ききしる。
あらわれる。
しらせる(しらす)。しらせ。「通知」
ものしり。
知っている事がら。
しりあい。つれあい。
もてなし。あしらい。
たぐい(類)
耳目の欲望。
州や県の長官。
ちえ(知恵)[同]智(ち)